
子どもの成長を祝う行事である七五三。着物を来たお子さんの姿を見るのは、ご両親にとってもお祖父様・お祖母様にとっても嬉しいものですね。
でも着物に染みが付いていたら、せっかくの晴れ姿も台無しになってしまいます。ここでは七五三着物にできる染みの種類や原因、対処法や予防策、染み抜きクリーニング店についてご紹介していきましょう。
七五三着物にできるシミの種類
着物にできる染みには以下の様な種類があります。
染みの種類を特定すればより適切な染み抜き対処が行えるので、シミの種類確認はしっかり行いましょう。
汗ジミ:主にワキや首周り等に付着した汗と皮脂が黄ばんだシミ(黄変)になります。
泥ハネ:主に着物の裾や袴に付きます。天候の悪い日、雨の翌日等に着用した場合には泥ハネが増える傾向です。
水ジミ:雨に濡れた時、水たまり等の雨水がかかった場合等に輪染みのようなシミができることがあります。
水溶性のシミ:ジュースやお醤油等、油分のほぼ無い液体をこぼしたシミです。
油溶性のシミ:チョコレートやマヨネーズ等、主に油分の多い食事類の食べこぼしのシミです。またクレヨンや油性ボールペン等のシミも油溶性のシミとなります。
血液シミ:お子さんの場合、擦りむいた傷やひっかき傷等から血液が付着してシミになることがあります。付いた直後は赤いシミですが、時間が経つと黒味を帯びてきます。着物内側に付着していることも多いのでしっかりチェックしましょう。
カビ:事由のわからない青・黒・茶色っぽいシミは、皮脂や油分等から繁殖したカビであることが多いです。
関連記事:着物の染み抜きの方法 他店で断られた30年前の古いシミ落とします
七五三着物がシミになる原因は?
ガンコなシミができてしまう原因には、主に以下の4つが挙げられます。
1)油分残り・色素の残り
食べこぼし等でシミがついた時にサッと拭いて「目立たなくなったから大丈夫」と思ってそのまま保管してしまうと、後に油染みや変色として目立つシミとなってしまいます。シミやハネができたら、早めにキチンとした対処をすることが大切です。2)汗・水分の残り
汗によるシミはその時には色素が目立たないため、気付かず放置した結果、後々に黄変したり、変色することがあります。汗をかいた箇所にアイロンをあてた結果黄色いシミとなるケースも多いようです。3)保管中の湿気
クリーニング店のビニール袋に入れっぱなしにしていたり、タンスの設置場所が湿度の高い場所であったりすると生地に湿気がこもり、カビが発生しやすくなります。4)防虫剤・香料の影響
たとう紙の中の着物に触れるように直接防虫剤や香料等が入れておくと、シミに似た変色が起こる場合があります。自宅でできる染み抜き法
「シミができた!」と気づいたら、早めに染みの種類を特定し処置を行います。
水溶性シミの場合
1)水分をタオルやティッシュで両側から優しく抑え、できるだけ吸い取ります。2)ぬるま湯に浸し絞ったタオルで、シミ部分を軽く叩きます。
3)中性洗剤を10倍〜15倍に薄めてタオルを浸し、シミ部分をトントンと軽く叩くようにしながらシミをタオルへ移します。絶対にこすらないように気をつけましょう。
4)再度ぬるま湯で絞ったタオルでシミを叩きます。
5)和装ハンガーにかけ、水分をよく飛ばします。
外出先等での応急処置としては、1)と2)を丁寧に行えばOKです。
血液シミの場合もほぼ対応は同じですが、血液凝固を防ぐためにぬるま湯は避けて水のみを使用します。
※洗剤使用時は、目立たない場所で変色・色移りが無いか確認を行いましょう。
油溶性シミの場合
1)シミ裏側にタオルをあてておきます。2)ベンジンをガーゼに含ませ、シミ部分をガーゼで優しく叩いてシミを吸い取ります。
3)輪染みにならないようにシミの外側から内側へ向かって叩き、周辺部をぼかすようにします。
4)乾燥させて汚れをチェックし、色素残りが見られる場合には水溶性シミの対処も行います。
※ベンジン使用時は、必ず目立たない場所で色移りや色にじみ・変色が無いかテストを行ってください。
※質の悪い揮発油ベンジンだと輪染みの原因となりますので、揮発性の高い上質なベンジンをご使用ください。
※作業時は必ず換気をします。
泥ハネの場合
1)濡らさずにハネの付いた部分を陰干しで乾燥させます。2)柔らかい毛の歯ブラシ等でごく優しく泥を掻き出します。
汗ジミの場合
1)乾いたタオルをシミ部分にあて、上からも乾いたタオルで軽く叩いて水分を吸い取ります。2)ぬるま湯に浸し固く絞ったタオル2枚で汗をかいた部分を挟み、トントンと叩きます。
3)最後にもう一度乾いたタオル2枚で水分を吸います。
4)よく陰干しし、汗を飛ばします。
雨に濡れた場合等もタオル2枚を使って丁寧に水分を吸い取っておくようにしましょう。
自宅でシミ抜きができない場合もあります
以下のような場合には、自宅での染み抜きが難しくなります。
- 着物の生地が正絹である場合
- シミ範囲が広い場合
- 保管した着物にシミを発見した場合
- 着用後から時間が経過している場合
- カビ・変色が起こっている場合
- シミ箇所に刺繍がある場合
上記のようなケースや、染み抜きに不安がある場合には和装専門のクリーニング店もしくは悉皆屋に早急に依頼をしましょう。
着物の生地や染色は非常にデリケートなので、染み抜きによる水分・摩擦等を与えすぎたことによって修復ができなくなってしまうこともあります。
特に普段に着物を着用しない人、着物お手入れに不安がある人の場合には、知識がある専門家に相談をした方が無難です。
七五三着物に染みを作らないためには?
できるだけシミを作らない予防対策をして、染み抜きに困る事態を減らしましょう。
1)食事中の対策
七五三行事でお食事をされる場合には、大きめのナプキンやエプロン等を用意しておき、胸元や帯への食べこぼしを防ぎます。またコップ類の結露した水垂れがシミとなることがありますので、ご家族はコップ類をこまめに拭いてあげると安心です。
2)移動の対策
天候が悪い日の場合には車移動等を選択される方が多いですが、雨の翌日等の場合にも自家用車・タクシー等を利用された方が泥ハネや水濡れを防げます。3)帰宅後のケア
着物を脱がせたらすぐに裏表全体をチェックし、シミや汗汚れ等を確認します。和装ハンガーに干して通気性の良い部屋でよく陰干しし、しっかりと汗を飛ばしましょう。4)保管時の湿気対策
クリーニングに出した場合には、ビニール袋からは必ず出して保管します。新しいたとう紙に包み、除湿剤・防虫剤を入れてタンス保管しましょう。
タンスは換気のしやすい場所で、直射日光にあたらない場所に置くのが理想的です。
押し入れやクローゼットで保管をする場合には、着物専用の保管袋に入れておくと通気性がよく、カビや変色・虫食い等を防げます。
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おわりに
「古いシミを発見してしまった」「もうこの着物は子どもに着せられないかも…」
そんな時には、和装専門のクリーニング店を頼ってみましょう。
着物の染み専門の知識や技術を持ったクリーニング店では、古いシミやカビ、変色といった難しいシミ抜きクリーニングにも対応してくれます。「もう着られない」と諦める前に、相談をしてみるのがおすすめです。
七五三着物クリーニング専門店のご紹介
創業明治39年 着物クリーニングふじぜん【全国対応】
七五三着物クリーニングふじぜんホームページ
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